トランプ、イランとの「出口」を見つけるも、戦争の火種は未解決のまま ニューヨーク・タイムズ 2026年4月8日

デビッド・E・サンガー記者

トランプ大統領の短期的威嚇は功を奏したかもしれないが、
イランとの根本的な溝は2月当時と同じほどに深い

7日(火)の午前8時6分、トランプ大統領はイランに対し、日没までにホルムズ海峡の開放要求が満たされない限り、「今夜、一つの文明が死に絶え、二度と再興することはないだろう」という、破滅的な脅しを突きつけた。

それから10時間26分後の東部時間午後6時32分、彼はその脅しを、ひとまずは取り下げた。パキスタン政府の仲介により、世界経済を難航させ、米国の技術的優位とイランの予想外の回復力を見せつけたこの戦争において、2週間の停戦が合意に至ったと述べたのである。

レトリックを天文学的なレベルまでエスカレートさせるトランプの手法は、確かに彼が数週間探し求めていた「出口」を見つける助けとなった。この成功だけで、彼はニューヨークの不動産業界で学んだ戦術:「古い慣習を無視し、最大限の要求を突きつける」が地政学でも通用するという確信を深めるかもしれない。

疑いようもなく、これは土壇場での戦術的勝利であった。少なくとも一時的には、ホルムズ海峡を通じて石油や肥料、ヘリウムの流通が再開され、エネルギー・ショックが世界恐慌を招くと恐れていた市場を沈静化させるだろう。

しかし、この停戦は、戦争に至った根本的な問題を何一つ解決していない。

ミサイルや爆撃で打ちのめされたイランの民衆は依然として、冷酷な革命防衛隊(IRGC)に支えられた神権政治の下に置かれている。指導部が交代したとはいえ、彼らはなじみ深い独裁政権の支配から抜け出せていない。また、今回の戦争の「開戦理由(カズス・ベリ)」であったはずの、爆弾級に近い濃縮度を持つ970ポンド(約440kg)の核物質を含む核兵器在庫も、イランの手元に残されたままだ。

湾岸諸国の同盟国は、ドバイのガラス張りの超高層ビルや、クウェートの裕福な居住区を支える海水淡水化施設が、イランのミサイルやドローンで簡単に破壊され得るという事実に愕然としている。ガソリン価格は高騰しており、「戦闘が止まればすぐに元の水準に戻る」というトランプの公約がこれから試されることになる。

さらに、トランプの政治的支持基盤も分裂している。かつての支持者たちは今、大統領やJD・バンス副大統領をはじめとする側近たちが、「西アジア(中東)の勝てない戦争に米国を巻き込まない」という公約を破ったと非難している。

これらすべてが起きたのは、イラン側が13,000回もの精密爆撃を吸収しながら、石油供給を断ち切り、サイバー軍を米国のインフラ攻撃に送り込むという、見事な「非対称戦争」を遂行できることを証明した瞬間でもあった。

今、トランプが直面している課題は、単に恒久的な和平合意に達することではない。そもそもこの紛争が「戦う価値のあるものだった」ということを、米国民と世界に対して証明しなければならないのである。そのためには、わずか21マイル(約34km)の幅しかないホルムズ海峡を握るイランの「死の手」を振りほどき、核兵器製造の可能性を完全に排除したことを示さなければならない。

その点において、イラン側が示した合意内容には不気味な要素が含まれている。イランのアッバス・アラグチ外相は、船舶の航行は再開されるが、それは「誰がいつ通過するかを決定するイラン軍」の管理下で行われる、と記した。

ワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のリチャード・フォンテーンCEOはこう語る。「イランが海峡の支配権を維持しているが、これは開戦前にはなかったことだ。米国や世界が、主要なエネルギーの急所をイランに無期限に支配される状況を受け入れられるとは到底思えない。それは開戦前よりも実質的に悪い結果だ」。

最終的な合意案も同様かもしれない。4週間前、トランプはイランの「無条件降伏」を要求し、いつ同国が完全に敗北したかを決定するのは自分だと言い放っていた。しかし火曜日の夜、彼のトーンは一変した。パキスタン側に提出されたイランの「10項目案」をベースに今後2週間の交渉を行うことに同意したのだ。トランプはそれを「交渉のための実行可能な土台」と呼んだ。

「イランの案を見たか?」とフォンテーン氏は問う。「それは戦前のテヘランの『欲しいものリスト』そのものだ。ウラン濃縮の権利の国際的承認、地域からの全米軍の撤退、経済制裁の解除。さらに、戦争で受けた損害に対する対イラン賠償金の支払いまで求めている」。

もちろん、これは交渉の出発点に過ぎない。しかし、イラン側が考える「最終的な和平合意」と米国の見解との間の隔たりはあまりに大きく、2週間どころか2年で解決するにも外交的な「柔術」が必要だろう。オバマ政権が2015年の核合意(トランプが2018年に破棄したもの)を交渉するのに、平時でさえ2年半かかった。今回の交渉は、いつ戦闘が再開されるかわからない「剣の下」で行われるのだ。

歴代大統領は20年にわたり、イランとの交渉、制裁、破壊工作を繰り返してきた。今、トランプは「イランと戦うことがより良い結果を生む」ということを示さなければならない。それは容易なことではない。

もし彼が、60%濃縮ウラン970ポンドとそれ以外の大量の低濃縮燃料をイラン国外に持ち出せなければ、1日10億ドルを投じたこの戦争で、彼は11年前のオバマ以下の成果しか上げられなかったことになる。当時の合意で、イランは核在庫の97%を国外へ搬出したのである。

もし彼が、イランのミサイル兵器の規模や射程を制限する合意を勝ち取れなければ、トップに掲げた目的の一つを達成できなかったことになる。

そして、もし父アヤトラ・アリ・ハメイニが殺害された爆撃で負傷し、回復中とされる新最高指導者モジュタバ・ハメイニ率いる政府との交渉が、結局の新政府の権威を固める結果に終わるなら、彼はイラン国民を裏切るリスクを冒すことになる。

トランプがイラン国民に対し、立ち上がって政府を打倒せよと促していたのは、わずか5週間前のことだ。今や彼はその政府と「ビジネス」をしている。火曜日、彼は新最高指導者が「以前とは違う、より賢く、過激化していない」世代の指導者であるという主張を繰り返した。しかし、米情報機関はそれに疑念を抱いている。

「もしかしたら、うまくいくかもしれない」。亡きジョン・マケイン上院議員の補佐官を務めたフォンテーン氏は言う。「しかし、米国と世界が、戦争開始時よりも悪い状況で終わる可能性も十分にある」。(“Trump finds his offramp with Iran, but causes of war remain unresolved”, ’President Trump’s short-term intimidation may have worked, but the fundamental divides with Iran are as sharp as they were in February’, By David E Sanger, New York Times April 8, 2026)

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