尹錫悦一派引き起こした不法戒厳と内乱は、この1年間、各種証言と国会聴聞、特検捜査などを通じてその全貌が概ね明らかになった。趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検事チームは、2023年下半期に入り、「崔上等兵殉職事件」捜査に対する外圧疑惑が浮上し、金建希がブランドバッグを受け取った事実が明らかになり、守勢に回った尹錫悦が非常戒厳を準備し始めたと結論付けた。戒厳後、国の構造を丸ごと変えた後、永久執権を画策したという「盧相源手帳」メモの真相を明らかにするところまでは至らなかったが、基本的な枠組みは明らかになっている状態だ。一方、内乱の双子格である「外患(一般利敵)」容疑は、昨年10~11月の平壌無人機侵入以外は断片的にしか真相が公開されていない。
先月5日、国防情報本部・防諜司令部・サイバー司令部を対象に実施された国会非公開国政監査で報告された情報司令部の「アルファベット工作」には、すでに知られている対北ビラ、無人機、対北砲射撃を越えて「潜水艇で北に侵入して爆破工作を行う」といった計画も含まれていたという。民主党の朴善源議員によると、主体思想塔、金日成銅像などを打撃しテロする計画もあった。呂寅兄元防諜司令官の携帯電話の中の「最小限の安保危機、最大限のノアの洪水」メモは虚言ではなかった。
呂寅兄が尹錫悦の前でひざまずいて訴えたと証言したように、南北が平穏な状態で戒厳を発動すれば軍が従わない可能性があり、したがって朝鮮半島の緊張水位を最大限引き上げる必要があった。内乱の火付け役として外患が必要だったのだ。尹錫悦一派は北の軍事行動を誘導するために最大限刺激する計画を長期間推進した。今月1日付の「ハンギョレ新聞」に掲載された元国軍心理戦団兵士の証言によると、2024年5月に始まった北の汚物風船散布に先立ち、2023年10月から国軍心理戦団の対北ビラ散布が始まったという。北が汚物風船で対応すると、軍は対北拡声器放送を再開し、9・19軍事合意を破棄した。6月には7年ぶりに北方限界線(NLL)付近で海上射撃訓練を実施した。
ドローン工作は緊張水位を最大限引き上げた。昨年10月、2キロの距離からでも騒音が聞こえるというドローンが平壌上空を飛び回り、金正恩国務委員長の官邸、労働党1号庁舎など核心地域にビラを散布した。北の指導部はもちろん住民まで激昂したという報告を受けて尹錫悦一派は拍手して喜ぶと、ドローン司令部は11月にも3~4回さらにドローンを北に送った。11月15日にはアパッチヘリコプターを軍事境界線(MDL)にぴったり寄せて飛行させながら北を露骨に刺激した。飛行中は北が盗聴可能な一般通信網を利用し、北が反応すれば空対地攻撃計画も立てた。この過程で合同参謀議長、米韓連合司令官、国連司令官の指揮系統は徹底的に無視された。作戦に加担した軍人たちは正常であれば処罰されるべきだ。処罰を避ける方法は非常局面しかない。「戦時戒厳を夢見たこと。それ以外に解釈ができませんね。そうでなければ将軍たちが出てきて戒厳に参同しますか?」(夫勝粲民主党議員、11月24日YTNラジオ)
「外患工作」にはまだベールに包まれているものが多い。情報司令部の要員が何の理由で戒厳直前にモンゴルのウランバートルまで飛んで行き、モンゴルの北の大使館と接触しようとしたのか、戒厳当日に軍部隊が楊口郡郡庁(江原道)状況室を接収した理由も明らかにされなければならない。国防部長官の金龍顕は逮捕される前、文書を大量に破棄し、PCをハンマーで壊して証拠を隠滅した。隷下の軍でも同様の隠滅作業が進められただろう。対北工作に国家情報院と国家安保室がどのレベルまで介入したのかも糾明されなければならない。戒厳がビルドアップされていた1年余りの間、軍の数多くの「アドルフ・アイヒマンたち」が命令を免罪符として朝鮮半島を火の海に陥れる任務を遂行した。尹錫悦の韓国は権力維持のために他国を軍事挑発する「不良国家」だった。
この外患の加担者の処罰どころか全貌も明らかになっていない状況で、北が韓国の対話提案に応じるはずがあるだろうか。金正恩委員長は今年9月の最高人民会議で「韓国と対座することはなく、何も一緒にしない」と述べた。国防部がMDL基準線設定問題を議論するための軍事当局会談を先月17日に提案したが、北は黙殺無言だ。我々は内乱と対北挑発を尹錫悦という希代の悪党が起こした例外的な事態と看做すが、北はこのような事を起こしうる韓国軍の構造に疑念を抱くだろう。野党は内乱を反省せず、そのような野党を30%近くの国民が支持している。立場を変えて考えてみるべきことだ。



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