アナ・スワンソン記者
イランから中国に至るまで、トランプ大統領の国際的な攻勢は、
他国が米国経済に圧力をかける新たな手法を模索する動機となっている
トランプ大統領は、国際舞台において一切の妥協なく米国の力を行使してきた。経済的・軍事的に極めて好戦的なアプローチをとり、他国の行動を支配しようと試みている。
高関税からイランとの戦争に至るまで、トランプ氏はこうした国際的な攻撃的振る舞いにはメリットしかなく、米国の力を活用することを拒んできた過去の指導者たちは愚か者だったと主張してきた。
しかし、この戦略の明確な欠点が浮き彫りになりつつある。多くの国が大統領の要求に屈する一方で、一部の国は極めて効果的な新しい反撃方法を見出したのである。トランプ氏の攻勢は、彼らに「チョークポイント(急所)」の支配力を試す機会を与えてしまい、米国および世界経済を脅かす結果を招いている。
その一つがホルムズ海峡だ。世界経済生産量の1%にも満たないイランが、世界の石油・ガスの5分の1を運ぶ航路を支配している。2月末に米国とイスラエルがイランへの攻撃を始めて以来、この海峡が閉鎖されたことで燃料や肥料、その他の物資の輸送が遮断された。これによりガソリン価格は急騰し、米国の農家や製造業者の間に不安が広がっている。
報復的な強圧外交のもう一つの「実験」は、ちょうど1年前の木曜日(2日)に始まった。トランプ氏がホワイトハウスのローズガーデンに立ち、彼が言うところの「解放の日」として関税を公表した時だ。欧州連合(EU)のような経済大国でさえ多くの政府が米国の要求に従ったが、中国は顕著な例外だった。北京はレアアース(希土類)鉱物と磁石の輸出に関するライセンス制度を導入し、世界の製造システムに対して比類なき支配力を手に入れた。
自動車、半導体、戦闘機、その他の製品のメーカーはレアアースに依存している。これらはトランプ氏が復活を望んでいる米国工場システムの屋台骨であるが、そのほとんどが中国で加工されている。
中国は一部のライセンスを承認してレアアースの流通を維持しているものの、多くのメーカーで供給が不足し始めている。さらに中国は、米軍向けの仕事をしている企業へのこれら材料の輸出を遮断しており、それら企業は代替の供給源確保に苦慮している。トランプ氏が訪中を約6週間遅らせて5月中旬にしたことは、習近平国家主席との会談がこの圧力を緩和してくれると期待していた企業幹部たちを不安にさせている。
こうした困難は、大統領にとって不都合な真実を浮き彫りにしている。米国経済がいかに強力であろうとも、世界全体と不可分に結びついている以上、依然として(他国によって)膝を屈させられる可能性があるということだ。
『チョークポイント:経済戦時代の米国パワー』の著者であるエドワード・フィッシュマン氏は、鉱物資源の管理によって、昨年トランプ氏が中国に対して譲歩せざるを得なくなったのを世界が見ていたと指摘する。フィッシュマン氏によれば、トランプ氏が1月にグリーンランドの接収の脅しをかけて以来、欧州の当局者でさえ、対米貿易における潜在的なチョークポイントを模索しているという。
「教訓は、米国の経済的強圧に対処する方法は『やり返すこと』だ、ということだ。イランは今、それを再び証明している」と同氏は語る。
中国はトランプ氏の再選前からレアアースの管理システムを設計し始めていた。米国の「供給網の武器化」戦略自体は完全に新しいものではない。米国には、国際的な銀行システムへの支配力を利用して敵対国を罰したり、高度な人工知能(AI)技術の対中流出を阻止しようとしたりしてきた長い歴史がある。
しかしトランプ氏は、関税から軍事攻撃に至るまでのツールを用い、米国の敵対姿勢を一段と強めた。彼の基本原則の一つは、米国はその力をもっと巧みにテコとして活用すべきだというものだ。彼は、世界最大の消費市場として、米国は他国に不利な条件での貿易を強いることができ、世界最強の軍隊を持てばベネズエラからイランに至るまで国家元首を排除できると主張している。
トランプ氏は、こうした行動が国際的な同盟や法律、慣習に違反するという批判を、世界を生々しい権力の観点から見ることを好んで退けてきた。中国のように彼に対して最もうまく立ち回っている国々は、同じ指針を認識しているようであり、彼を撤退させるために経済的に破壊的な方法で応戦している。
イランによるホルムズ海峡の支配が、トランプ氏に軍事行動の中止を決断させるかどうかはまだわからない。しかし、この混乱は大統領に「戦争をより早く終わらせる」よう促しているように見える。(“Rival nations seize choke points to counter Trump’s global strategy”, ‘From Iran to China, President Trump’s global aggression has encouraged other countries to search for new ways to pressure the US economy’, By Ana Swanson, New York Times, April 03 2026)




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