ミュンヘン(CNN):13日から開催されているミュンヘン安全保障会議の冒頭で、ドイツのメルツ首相は、国際的な秩序は「もはや存在しない」と強調した。大西洋を挟んだ米国と欧州の同盟関係は不安定な状態が続いているが、この見解は双方の数少ない合意点の一つとなっている。
メルツ氏は演説で、大国が国際ルールを無視する時代に、欧州の自由は「もはや当然のものではない」と警告。ロシアによるウクライナへの侵略戦争を非難し、欧州は自らの抑止力強化に投資すべきだと訴えた。さらに関税、気候変動、文化戦争に関するトランプ米政権の政策を公然と批判した。こうした発言は、米国側から一定の反発を招く可能性がある。
しかし、旧来の世界秩序が死に絶えたという見方については、米政権も同調しているようだ。
ルビオ米国務長官は12日夜、ミュンヘンに向けて出発するにあたり、「率直に言って、古い世界は過ぎ去った」とし、「我々は地政学における新たな時代に生きている」と述べた。
「それが一体どのような様相を呈するのか、我々はそこでどのような役割を果たすのか、全員でその問題についてある種の再検討を行う必要がある」とルビオ氏は付け加え、欧州が米国にとって重要であることにも言及した。「彼らは誠実さを求めていると思う。我々がどこへ向かっているのか、どこに行きたいのか、彼らと共にどこへ行こうとしているのかを知りたがっている」
確かに翌日、メルツ氏は大西洋を横断する欧米関係について正直な評価を示した。
「欧州と米国の間には亀裂が生じている」とメルツ氏は述べ、権利とルールに基づく国際秩序の終焉(しゅうえん)を嘆いた。
その上で、米国の主張する主導権には異議が唱えられ、おそらく既に失われているとの見方を示唆した。
メルツ氏の発言は、昨年の会議でバンス米副大統領が行った攻撃的な演説に対するある種の反論となった。この時バンス氏は欧州の政治家たちを厳しく批判。言論の自由を抑圧し、移民問題で制御不能に陥り、政権内では保守強硬派の政党との協力を拒んでいると指摘した。
それから1年後、メルツ氏は反撃を展開。「米国でMAGA(米国を再び偉大に)運動が繰り広げている文化間の戦いは、我々とは関係がない。ここ(ドイツ)における言論の自由は、人間の尊厳と我々の基本法に反する言葉が発せられた時点で終わりを迎える」と述べた。
さらに「我々は関税や保護主義ではなく、自由貿易を信じている」と付け加え、気候変動対策や世界保健機関(WHO)の取り組みへの支持も表明した。メルツ氏はこの演説で大きな拍手を浴びた。
一連の発言は、トランプ政権による昨年の関税引き上げや、気候変動対策の国際ルール「パリ協定」からの離脱、WHOからの脱退を念頭に置いたものとみられる。
その後メルツ氏は英語でのスピーチに切り替え、米国のリーダーシップに対する厳しい警告を発する一方、欧州との関係の修復を訴えた。
ルビオ氏は14日にこの会議で演説する予定。米当局者が確認したところによると、同日にはルビオ氏とウクライナのゼレンスキー大統領の会談も行われるという。




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