イラン戦争、米軍の負担は増大の一途 米政治専門紙「ザ・ヒル」 2026年3月23日

エレン・ミッチェル記者

米国による対イラン戦争は、米軍に深刻な打撃を与えつつある。開戦からわずか3週間で、死傷者の増加、弾薬備蓄の底突き、空母の戦線離脱、そして多数の航空機撃墜といった被害が相次いでいる。

2月28日に米イスラエル連合による対テヘラン戦が始まって以来、少なくとも13人の米軍兵士が死亡し、232人が負傷した。加えて、約16機の米軍機が破壊され、今月初めには空母ジェラルド・R・フォードが洗濯室での火災により損傷。米軍は防空ミサイルや長距離弾薬の備蓄を猛烈な勢いで使い果たしている。

現在、国防総省が米地上軍のイラン投入に向けた詳細な準備を進めているとの報告もあり、そうなればテヘラン側からの激しい報復は必至で、損失は一気に膨れ上がる恐れがある。専門家らは、中東でのこうした展開が世界の他の地域、とりわけインド太平洋における米国の安全保障を脅かしていると指摘する。

「問題は多岐にわたる」。かつて国防総省に務め、現在は戦略国際問題研究所(CSIS)に所属するセス・ジョーンズ氏は言う。「最優先事項ではない地域(中東)に資源を割き、中国との不測の事態に不可欠な航空機や艦船の即応性やメンテナンスを、今まさに使い果たしている状況だ」。

トランプ大統領は月曜日(23日)、ホルムズ海峡を再開しなければエネルギー・インフラを爆撃すると脅したことを受け、先週末にイラン側と核計画に関する協議を再開したと述べた。

しかし、交渉が再開されたとされる一方で、米・イスラエルによる対イラン攻撃は続いており、月曜日には軍高官らが陸軍第82空挺師団の戦闘旅団の投入を検討しているとの報道もあった。

また、国防総省は先週、数千人の海兵隊員と3隻の軍艦の派遣を前倒ししたと報じられている。少なくとも2,200人の隊員から成る第11海兵遠征部隊(MEU)は水曜日(18日)、予定より3週間早く強襲揚陸艦・ボクサーでサンディエゴを出発したが、米中央軍の担当エリアに到着するまでにはまだ1ヶ月を要する。

この派遣に先立ち、先週には2,200人の海兵隊員と水兵で構成される第31海兵遠征部隊が、日本を拠点とする強襲揚陸艦・トリポリで現地へ向かった。同艦は早ければ今週中にも同地域に到着する見込みだ。

中東への追加増員が進む一方で、トランプ政権は、一部の試算では1日あたり10億ドル(約1,500億円)に達するという紛争のコストや、戦闘範囲の拡大を過小評価し続けている。

トランプは先週、「どこにも地上軍は送り込まない」と述べたが、その一方でホルムズ海峡を強制開放するためにイラン領内への軍投入を検討しているとの報道もある中、「石油価格を下げるために必要なことは何でもする」とも語っている。

長期戦への懸念を裏付けるように、ホワイトハウスは議会に対し、この紛争のための追加予算として2,000億ドル(約30兆円)を要求する計画だ。これもまた、戦争がいかに米国の装備品に多大なコストを強いているかを示す兆候である。

ブルームバーグの報道によれば、少なくとも16機の航空機が撃墜または墜落した。その内訳は無人機リーパー10機、F-15戦闘機3機、KC-135空中給油機1機などだ。また、サウジアラビアの飛行場に対するイランのミサイル攻撃により、別の5機のKC-135が損傷し、木曜日(19日)には中東での戦闘任務を終えた最新鋭のF-35戦闘機が緊急着陸を余儀なくされた。

対照的に、同じく大規模な航空作戦であった2011年のリビア軍事介入では、4ヶ月間での戦闘による損失はわずか3機だった。

リーパー1機あたりのコストは5,650万ドル以上、F-15は9,000万ドルから9,700万ドル、KC-135は7,000万ドルから8,000万ドルの価値がある。F-35は最も高価で、1機あたり9,000万ドルから1億ドルに達する。

米軍は艦船の疲弊にも直面している。最大級の空母ジェラルド・R・フォードは、3月12日の艦内火災(水兵2人が負傷、ベッド約100台が焼失)を受け、修理のために月曜日(23日)にギリシャのクレタ島に到着した。同艦はトイレ・システムの不具合も抱えていたと報じられている。

ジョーンズ氏は言う。「昨年、海軍の展開艦隊の約4分の1がベネズエラ作戦のために西半球へ向かったが、現在は展開中の艦船の40%以上がイラン作戦に充てられている。これは大きな負担だ。摩耗と疲弊が激しい。ジェラルド・フォードで起きた洗濯室の火災や、その他のメンテナンス上の問題が緊急事態を招いているのは、その証左だ」。

米政府の弾薬備蓄も打撃を受けており、戦争が長引くほど、精密・高性能弾薬や迎撃ミサイルの不足が深刻化する可能性が高い。

米軍は、THAAD(高高度防衛ミサイル)やパトリオットの迎撃弾、AMRAAM(中距離空対空ミサイル)、トマホーク、艦載ミサイルを大量に消費している。

トランプは3月初旬、中級および中上級の兵器の備蓄は「かつてないほど充実している」と強弁し、軍からは「これらの兵器の供給は事実上無制限だと言われた」と主張した。

かつてトランプ政権の当局者を務め、現在はケイトー研究所の上級研究員であるキャサリン・トンプソン氏は、この主張に懐疑的だ。「彼らがどの程度の備蓄を指してそう言っているのか、定義をぜひ知りたい。文脈によって意味は全く変わってくるからだ」と彼女は本紙に語った。

彼女は、兵器はすぐには補充できないため、弾薬備蓄の枯渇は戦争の最も重大で長期的な影響の一つであると付け加えた。米国の兵器庫は、バイデン政権下でロシアと戦うウクライナへ数十億ドルの殺傷兵器援助を送った際にすでに打撃を受けていた。

「トランプ政権は不運にも、弾薬備蓄や米軍全体の即応性が極めて劣悪な状況を前政権から引き継いでしまった。イランのような紛争に関与したり、トランプ政権が最優先事項だと公言している他の任務を遂行したりするには厳しい状態だった」とトンプソン氏は言う。そして、「しかし、我々はその上で、あえてこの戦争に踏み切った。備蓄や弾薬全般へのリスクを知り、地域防衛のために何をすべきかを知りながら、補充の問題を解決しないままにだ」と付け加えた。

これは、もし米国が別の紛争、例えば中国との戦いに引き込まれた場合、大きなトラブルを招く可能性がある。ワシントンがイランにかかりきりになっている隙に、北京が脅しを実行に移し、台湾を奪取しようとした場合だ。 「自分たちが下した選択のせいで……もし中国が動いた時、台湾をめぐる紛争で抑止力を維持したり、勝利したりする準備ができているのか、非常に懸念している」とトンプソン氏は結んだ。(“Iran war takes mounting toll on America’s military”, By Ellen Mitchell, The Hill, March 23, 2026)

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