ドナルド・トランプは出口戦略を探っているのか? ラリー・C・ジョンソン 元米中央情報局(CIA)情報分析官 『ソナー』2026年3月2日

2月28日にイスラエルと米国が行った斬首作戦は、イラン軍高官らと会談中だったアヤトラ・ハメネイ師を直撃した。このイスラエルによる攻撃は、幸運な偶然だったのか、それとも周到に計画された罠だったのか? 米国は、ジュネーブで予定されていた3月2日の会談に向けた準備として、米国側の提案を協議させるためにハメネイ師に会談のメッセージを送っていたのだろうか?

イラン軍高官らが集まった理由が何であれ、それは西側とその「シオニストの主人たち」(イスラエル)にとっての「ピュロスの勝利(犠牲が大きすぎて割に合わない勝利)」となった。ハメネイ師の殺害は、イランの反体制派を刺激してテヘランの街を埋め尽くさせ、ムッラー(聖職者層)の追放を要求させることにはつながらなかった。いや、それどころか、この攻撃はイラン国民を団結させ、躊躇なくムッラーによる統治の継続を支持させる結果となった。

ドナルド・トランプの公の場での言葉を聞く限り、彼はイラン人殺害における米軍の軍事的成功について、荒唐無稽な主張を繰り返している。しかし、新たな報告によれば、トランプはパニックに陥っており、勝利を宣言して戦争から離脱する方法を探っているという。トランプは、最近のイラン対する米・イスラエル軍の攻撃(2026年2月28日の最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師殺害を含む)を受け、イランとの即時停戦を提案するための仲介役、あるいはパイプ役となるようイタリアに要請した。

複数のメディア報道によると、米当局者はイタリアの仲介(ジョルジャ・メローニ首相の政権が関与している可能性が高い)を通じて、緊張を緩和し、交渉に復帰する可能性を探るための迅速な停戦を提案した。これは、初期の攻撃が主要な目的を達成した後、軍事行動を速やかに終了させる試みとして位置づけられていた。

いい試みだが、ドナルド!お前は残されたわずかな信頼すらも無駄にしてしまった。イランは米国に対し「失せろ」と告げた。米国とイスラエルによるハメネイ師暗殺は、イランにとって最後の最後の一線、すなわち「逆鱗」となった。私の見解では、彼らには停戦への関心など微塵もない。イラン側は、枯渇しつつある米軍やイスラエルの兵器システムを消耗させ、米国を屈辱的な撤退へと追い込む上で、自分たちが有利な立場にあることを自覚している。

もし米国が、本当にイランの完全敗北、つまりテヘランが政権交代の瀬戸際にいると判断しているのであれば、ドナルド・トランプが停戦や交渉への復帰などという考えを抱くだろうか? 断じて「ノー」だ。トランプは、イスラエルに同調し、イランの「精神的父」を100人以上の女子学生と共に殺害することで、政権交代を強要しようとしたが、重大な戦略的ミスを犯した。

イランも大きな損失を被っているが、イスラエルと米国にも同等、あるいはそれ以上の痛みを負わせている。アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、バーレーン、サウジアラビアにある米軍のインフラを破壊しただけでなく、イランによるホルムズ海峡の封鎖は、西側の金融秩序に甚大な経済的打撃を与えるだろう。

私は、イランが膨大な弾道ミサイルと巡航ミサイルの備蓄を保有しており、少なくとも2ヶ月間はイスラエルと米国の両方に対して消耗戦を維持できると確信している。これこそが、トランプが今、必死になって停戦を確保し、飛び出した歯磨き粉をチューブに戻そうとしている理由だ。だが、イランは一切応じない。

私は、3月15日までに、米国とイスラエルは、少なくとも非公式に、イランのミサイル乱射を止めてくれるよう懇願することになると考えている。ハメネイ師の死は、イランの指揮系統から「穏健派」を取り除いてしまった。2025年6月25日にイラン当局がイスラエルへのミサイル攻撃終了に合意したのは、ハメネイ師の承認があったからだ。革命防衛隊(IRGC)の指導部にはその決定に反対する者が多くいたが、彼らはハメネイ師の決断に従った。今や彼らの正しさが証明されたことになった。米国は信頼に値するパートナーでも、頼りになる交渉相手でもない。この作戦は、イスラエルがガザとヨルダン川西岸地区から撤退することに同意したときにのみ終了すると、私は信じている。さもなければ、イランはイスラエルの経済・科学・軍事インフラを叩き潰し、切り刻み続けるだろう。ああ、もう一点。イランに対するすべての経済制裁も解除されなければならない。

トランプが2024年の選挙戦で掲げた「平和の確保」という公約は、任期の残りの期間、彼を苦しめ続けるだろう。多くのMAGA(トランプ支持者)は、彼の裏切りを許さないはずだ。2024年の大統領選の最中、トランプは「終わりのない戦争」への反対を繰り返し強調し、海外での新たな軍事的関与を避け、代わりに「アメリカ・ファースト」の優先事項と「力による平和」に焦点を当てる候補者として振る舞っていた。

2024年の選挙戦中、トランプは民主党の対立候補のカマラ・ハリスを「終わりのない戦争の候補者」と呼び、自分こそを「平和の候補者」であると対比させていた。彼は、第1期政権において「近代において新しい戦争を始めなかった最初の大統領だ」と豪語し、2024年7月の共和党全国大会でも、自身の外交政策が「世界に安定をもたらす」と述べ、この言葉を際立たせて使っていた。様々な集会(例えば2024年1月のアイワ党員集会に向けた期間など)で、彼は「米国の資源を使い果たした過去の政権による長期化した紛争」を批判し、「あの愚かで馬鹿げた終わりのない戦争の日々に永遠に終止符を打つ」と約束した。彼が繰り返した象徴的なフレーズは、「私は戦争を始めるのではない。戦争を止めるのだ」というものだった。これは、勝利演説や対立候補への攻撃など、複数の文脈で登場した。2024年11月の当選後の勝利演説でも、彼は「私は戦争を始めるのではない。戦争を止めるのだ」と繰り返し、海外の紛争ではなく国内問題に資源を振り向けると宣言していた。

トランプは、私のように彼の「デタラメ」を愚かにも信じた人々を裏切った。彼は今、米国が勝つことのできない戦争を始めてしまった。この不必要で違法な戦争で殺されたアメリカ人の遺体がデラウェア州ドーバー空軍基地に届くにつれ、トランプの支持率は急落するだろう。私は、彼が任期を終える前に弾劾され、有罪判決を受けることを十分に予想している。彼は自分自身を責めるしかない。彼は、イランが核兵器を取得しないことを保証する合意を取り付けることもできたはずだ。しかし、彼は戦争を選んだ。そして、その「死んで腐敗したアホウドリ」(負の遺産・重荷)を惨めな残りの任期間ずっと首にぶら下げ続けることになるだろう。(“Is Donald Trump Looking for an Exit Ramp?”, by Larry C. Johnson, a former CIA officer and intelligence analyst, SONOR 21, March 2, 2026)

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