ダニエル・デロシェ記者
5週間にわたる戦争を経て、米国が兵器備蓄を再建するために必要な
重要鉱物を中国が掌握している
中東での戦争は、この地域における米国のミサイル防衛システムの主要な部分を枯渇させた。再建のために、米国は中国との取引を成立させる必要がある。
わずか1ヶ月余りの戦争の中で、イランはこの地域に分散配置された米軍の複数のレーダー・ユニットを標的にしてきた。これらは、飛来するミサイルやドローンを検知し撃墜するために使用される最先端の防衛兵器である。軍事専門家は、破壊されていなければ幸いだが、その多くが損傷を受けたと見ている。これらの迎撃ミサイルの主要な構成要素は、半導体などの他のハイテク製品にも使用される重要鉱物「ガリウム」である。
中国は、ガリウムの精錬においてほぼ完全な独占状態にある。そして、中国はすでに供給を制限する意思があることを証明済みだ。数年を要する迎撃ミサイルの再建のために米国側のガリウム需要が増大すれば、ドナルド・トランプ大統領と中国の指導者・習近平氏との間で行われる次回の首脳会談において、中国側の持ち札が強まるだけだ。
「広義の意味で、これが我々をより脆弱にするか? そうだ、そう思う」と、重要鉱物を専門とする投資家・ミハイル・ゼルドビッチ氏は述べ、「そこに疑いの余地はないと思う」と付け加えた。
2025年10月30日に米中間で合意に達して以来、数ヶ月間は安値で推移していたが、この1ヶ月ですでにガリウムの価格は32%上昇した。この交渉が始まった一因は、ガリウムを含む重要鉱物の精錬を中国がほぼ完全にコントロールしており、その影響力を行使して供給を遮断し、米国を交渉のテーブルにつかせたことにある。
米国が兵器備蓄を補充しようとして重要鉱物の需要が高まれば、それは中国の持ち札をより強力にするだけだろう。
「自分たちが『需要者』として見られ、欲しいものがあるとなった瞬間、その関係性は、相手側が『影響力(レバレッジ)』の匂いを嗅ぎ取るポイントに達する。そうでしょ?」と、元米通商代表部交渉官・ウェンディ・カトラー氏は語った。彼は「そうなれば、(北京は)要求を吊り上げることができます」とも付け加えた。
半導体、電気自動車、風力発電機、スマートフォンやノートパソコンの充電器などの幅広い消費者製品に加えて、重要鉱物は米国の兵器システムやその他の防衛技術の主要な構成要素である。迎撃ミサイルが正確な脅威検知を行うためにガリウムに依存しているだけでなく、テルビウムやジスプロシウムといった他の重レアアース(重希土類)もミサイル誘導の重要部品である。中国は、重レアアース精錬の90%以上を支配している。
「それらのサプライチェーンを混乱させることは、防衛産業のサプライチェーンに新たなボトルネックを生み出す可能性がある。我々の防衛産業はすでに需要を満たす上で十分な課題を抱えている」と、戦略国際問題研究所(CSIS)の「チャイナ・パワー・プロジェクト」の副局長であるブライアン・ハート氏は述べ、「よって、そこに重要鉱物のボトルネックが加わることは、事態を非常に複雑にする」と付け加えた。
トランプ大統領が9日(木)に発表したイランとの2週間の停戦期間中、米国が態勢を立て直す中で、軍は兵器備蓄の損害状況とその再建に何が必要かを評価することになる。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、戦争の初期段階でイランは7カ所の米軍拠点を攻撃し、通信およびレーダー・システムを標的にした。コロラド鉱山大学のペイン公的政策研究所の分析によると、これらのシステムが弱体化すると、米国と同盟国は飛来する脅威を排除するために、より多くのミサイルを撃つ必要があり、時には1発のミサイルを撃墜するために10発または11発の迎撃ミサイルを使用することになって、米国の在庫を急速に枯渇させた。
イランでの紛争は、中国から独立した重要鉱物の代替サプライチェーンを構築しようとする連邦政府の取り組みに、さらなる緊急性を加えている。
しかし、それには時間がかかる。米国が兵器在庫を使い果たすのにかかる時間よりも、はるかに長い時間だ。
「短期的、中期的には、中国がこれらの一部の重要鉱物における支配力を利用できる立場に、依然として留まるだろうと私は考えている」とハート氏は述べた。そして「北京はそれに成功してきたと思う。それは明らかに、トランプ政権を交渉のテーブルにつかせ、昨年の釜山合意に至らせるための、彼らの最大の交渉カードだった」と付け加えた。
この貿易上の停戦状態は、中国側が重要鉱物の輸出管理を緩和するという約束を守っているため、過去5ヶ月間、比較的安定している。
しかし、その現状を変更しようとするいかなる動きも、両国を一気に貿易摩擦のエスカレーションへと逆戻りさせ、米国経済に重大な結果をもたらす可能性がある。かつては、両国間に実質的な禁輸措置が敷かれる一歩手前までいったこともあるのだ。
中東での戦争から得た新たな影響力を、中国が自国の利益のために利用しようとするかどうかは、まだ分からない。米通商代表部のジェイミソン・グリア氏は、5月中旬のトランプ氏の訪中を前にして両国の関係は安定していると述べた。トランプ氏に「予測可能性」を求める中国側は、そのバランスを崩したくないのかもしれない。
中国経済を追跡する『チャイナ・ベージュ・ブック』のチーフエコノミストであるデレク・シザーズ氏は「彼らがわざわざ揉め事を起こす理由が見当たらない」としながら、「物事は順調に進んでいる。米国が同盟国を遠ざけていることは、中国にとって国際的な最優先事項のようなものだ。ならば、わずかな影響力のために、その状況を台無しにする必要があるだろうか?」と述べた。(“The Middle East war depleted US weapons, Rebuilding will require China’s cooperation”, ‘Beijing has a stranglehold on the critical minerals the U.S. needs to rebuild its weapons cache following five weeks of war’, By Daniel Desrochers, Politico April 9, 2026)



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