ホルムズ海峡の封鎖が続く中、米海軍は任務コストの高騰に直面している ブルームバーグ 2026年5月11日

ホルムズ海峡の不安定な状況が続く限り、米海軍が同水路に駆逐艦を派遣するたびに数百万ドルの追加費用が発生する。そして、そうした航行それ自体によって海峡が再開される見込みは薄い。

海峡の航行は依然として危険に満ちており、艦船には戦闘機やヘリコプターの上空支援、さらに追加の監視措置が随伴している。

もし艦船がイランの攻撃に対して自衛を迫られれば――7日の通航中に3隻の軍艦が実際にそうしたように――その費用はさらに跳ね上がる。使用されるミサイルは1発につき最大600万ドル(約9億円)に達するためだ。

運用の多くは今年度の国防予算でカバーされているものの、湾岸を出入りする商船を繰り返し護衛する費用の総計は、国防総省がすでに250億ドルに達したとしている紛争コストに、さらに数十億ドルを上乗せすることになる。なお、この250億ドルという数字については「低すぎる」という批判もある。

米海軍の退役大佐で戦略予算評価センター(CSBA)上級研究員のセイン・クレア氏は、海軍の通航だけでは、ペルシャ湾に足止めされている1,500隻以上の商船のために海峡を開放することはできないと指摘する。

クレア氏は「2回程度の通航で海峡が実質的に安全になるとは思えない」としながら、「実際、米軍艦がイランの攻撃を退けなければならなかったという事実は、護衛のない船舶が引き続き執拗な脅威にさらされ続けることを示している」と述べた。

同氏は、これらの脅威への対処が、中国やロシアのようなより高度な敵対国向けに設計された米国のハイエンドな防空・ミサイル防衛兵器の在庫を枯渇させていると付け加えた。

海軍の防空ミサイルのコストは、脅威や射程に応じて約100万ドルから600万ドルの幅がある。RTX(旧レイセオン)社製のSM-3ブロックIIA迎撃ミサイルは1発2,500万ドル以上するが、これは弾道ミサイル撃退用であり、海峡通航中に発射される可能性は低い。

海軍は、紅海でフーシ派の攻撃から商船を守る任務において、防空迎撃ミサイルに10億ドル以上を費やした経緯がある。

ピート・ヘグセス国防長官とダン・ケイン統合参謀本部議長によれば、米国が「プロジェクト・フリーダム(自由作戦)」と名付けた一環として先週行われた海峡通過には、2隻の駆逐艦、約100機の航空機、1万5,000人の人員、および多様なドローンが投入された。

米中央軍によれば、7日には3隻の米駆逐艦が海峡を通過し、攻撃を受けた。

駆逐艦の運用コストは1日あたり約60万ドルである。航空機の飛行コストは1時間あたり数千ドルに及ぶ。国防総省は自らのコストを公表していないが、予算文書によれば、他機関に請求する際の料金は、C-130J輸送機の1時間あたり約4,500ドルから、B-1B爆撃機の約8万5,000ドルまでに及ぶ。戦闘機、監視機、爆撃機、ヘリコプター計100機を8時間運用すれば、そのコストは約1,000万ドルに達する計算だ。

ブルームバーグ・エコノミクスの防衛担当リード、ベッカ・ワッサー氏は、イランのミサイルが防衛網を抜けて艦船に命中するリスクに加え、ペルシャ湾を出入りするこうした数百回に及ぶ任務のコストは、瞬く間に数十億ドル規模に膨れ上がると指摘する。

外交政策研究所(FPRI)&英海軍戦略研究センターのエマ・ソールズベリー氏は、「米海軍が通航を繰り返せば繰り返すほど、イランが攻撃を続ける限り、被弾する可能性は高まる」とし、「発砲や機雷敷設によってイランが通航のリスクを維持できる限り、海峡が戦前のように『開放』された状態に戻ることはないだろう」語る。

米中央軍の声明によれば、駆逐艦「トラクスタン」、「ラファエル・ペラルタ」、「メイソン」の3隻は、7日に米側の資産に被害を受けることなくオマーン湾に到達した。11日の通航に参加した艦船も被弾はしなかった。

米当局は、イランがこれらの艦船に対してどのような武器を発射したかについては明らかにしていない。8日の米軍による攻撃は、7日に3隻の軍艦を攻撃したとされるイラン国内のミサイル・ドローン発射サイトやその他の軍事資産を標的にしたものだった。

海峡を通る商業活動は依然として停滞したままである。マサチューセッツ工科大学(MIT)のケイトリン・タルマッジ氏は、軍艦が単独で繰り返し通航したところで、その状況は変わらないと言う。

船舶を攻撃してくるエリアを制圧するか、あるいは紛争解決のための交渉を行うことだけが、交通を回復させる現実的な手段である。そして、どちらの手段にも、軍事的な犠牲か、あるいは譲歩という形でのコストが伴う。

タルマッジ氏は「力ずくの軍事作戦によって海峡の往来を再開させる優れた選択肢などありえない。もしあれば、米国はすでに実行していただろう」としながら、「商船の往来を真に安心させる唯一の手段は、紛争の終結である。しかし、それは軍事的な結果ではなく、政治的な結果なのである」と述べた。(“U.S. Navy Faces Rising Costs for Hormuz Missions With Strait Still Blocked”, Bloomberg, May 11, 2026)

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