トランプ、天壇へ詣でる 米オンライン・メディア『アンズ・レビュー』2026年5月15日

ペペ・エスコバル 国際的地政学アナリスト、アジア・タイムズ特別編集委員

もし我々が十分に寛大であるならば、習氏とトランプ氏が3年間の安定化の枠組みで合意した、と推測できるかもしれない。

14日の『チャイナ・デイリー(中国日報)』の1面を飾った見出しは、「トランプ氏、北京でレッドカーペットの歓迎」という衝撃的なものだった。

そこには、花を振る子供たちの熱狂的な歓迎から、1420年に建設された、天と人との繋がりを象徴する天壇(てんだん)への訪問までが網羅されていた。

若さが伝統と出会う。完全に近代化した中国を率いることになる世代が、深遠な歴史と出会うのだ。当惑し、混乱した米大統領は、文明の高度な授業を駆け足で受講し、それを吸収するのが精一杯だった。

習おじさん(シー・ダーダー)は、例によって鋭かった。「我々は競争相手ではなく、パートナーであるべきだ」。例外的な大国(米国)の住人たちは呆然とした。貿易戦争、技術制裁、絶え間ない台湾ヒステリー、軍事包囲網、地政学的経済対決、反中レトリックの絶え間ない連呼の後の、これである。

冷静になれ。クールになるんだ。

ああ、地球上で最も重要な二国間関係の紆余曲折よ。両国の経済はかなり絡み合っているとはいえ、2025年の二国間の物品貿易額は4.01兆元(5億9000万ドル)に達した。世界的な規模で見れば、これは決して画期的とは言えない。中国の全対外貿易のわずか8.8%に過ぎないのだ。

公式晩餐会で、習氏の鋭いレトリックという短剣は、「MAGA(米国を再び偉大に)」と「中華民族の偉大な復興」を統一するという離れ業をやってのけた。

「中国と米国の国民は共に偉大な国民である。中華民族の偉大な復興を成し遂げることと、アメリカを再び偉大にすることは、手を取り合って進むことができる」。

米国側は、再び困惑した。

そして習氏は、我々が今どこにいるのかを簡潔に説明した。それはたった一文だった。

「百年に一度の変革が世界中で加速しており、国際情勢は流動的で不安定である」。

彼が公の場で、世界的な聴衆に向けて初めてこの「変革」に言及した時と比較してみよう。それは2023年春、クレムリンでプーチン大統領と会談した直後のことだった。

そして習氏は即座に問いかけた。「中国と米国は、『トゥキディデスの罠』を克服し、大国間関係の新しいパラダイムを創造できるだろうか?」

「トゥキディデスの罠」は、米国シンクタンク界がでっち上げたもう一つの希薄な概念に過ぎない(トゥキディデスの最高の分析者はギリシャ人やイタリア人であり、ワシントンの政治家集団ではない)が、習氏のメタファー(隠喩)は、中国が今や新しい新興秩序のリーダーであることを実際に強調していた。

そして、中国は一発の弾丸も撃つことなく、そこに到達したのである。

いわゆる「建設的な戦略的安定」

習氏は次に、米中関係に対する自らの新しいビジョンを――少なくとも今後3年間のために――かなり驚くべきスローガンを通じて展開した。それが「建設的な戦略的安定」である。

しかし、それには3つの深刻な問題がある。

「混沌の帝国」(米国)は建設的ではない。破壊的である。

それは戦略的ではない。せいぜい粗雑な戦術的レベルであり、その戦術も常に変化している。

そしてそれは安定ではない。嘘、略奪、そしてベネズエラや特にイランで見られるような海賊行為と並んで、混沌を植え付け、展開することだ。

したがって習氏は、理知的に考えて、関係の「柱」としてアメリカと言う帝国からの「協力」を期待することなど到底できない。ましてや「適切な制限内での健全な競争による安定」など望むべくもない。

もし我々が十分に寛大であるならば、習氏とトランプ氏が3年間の安定化の枠組みで合意した、と推測できるかもしれない。それは構造的なリセット――まず協力を優先し、次に管理された競争を行い、最終結果として予測可能な平和をもたらすもの――として解釈されるべきだ。

とはいえ、忘れてはならない。我々が対峙しているのは、ラブロフ外相の不朽の定義によれば、「合意能力を持たない」米国なのだ。

そしてもちろん、「台湾問題」がある。習氏は最も鋭くこう述べた。「『台湾独立』と海峡の平和は、火と水のように相容れない」。米国は「台湾問題の処理」において「極めて慎重」に行動しなければならない。

習氏はこれを「中米関係における最も重要な問題」と呼んだ。北京にとって、これは究極のレッドラインである。トランプ陣営は、そのリスクをまだ理解していないかもしれない。台湾は、楽観的で平和な「3年間の等式」全体をゼロにリセットする可能性を秘めた変数である。

ちなみに、米国が台湾への不干渉を約束する代わりに、米国がイラン問題を「助ける」という米国の主流メディアの報道は、まったくもって馬鹿げている。中国とイランには、進化し続ける包括的な戦略的パートナーシップが存在するのだ。

北京でそのようなやり取りが進んでいる間、私は上海で、中国ナンバーワンの独立系メディアであり、少なくとも1億2000万人の日次フォロワーを持つ『観察者網(Guancha)』の総責任者、卓越した李波氏と地政学について長々とランチを共にする機会に恵まれた。

いくつもの示唆の中で、李波氏は、台湾は北京にとって問題ではない、それは平和的に解決されるべき内政問題に過ぎない、真の問題は日本の再武装であり、特に率直に言って、軍事主義的な高市早苗政権の下ではなおさらであると説明した。

トランプ・習ショーの真のVIPたち

「悪の帝国」熱狂、「デカップリング(切り離し)」ヒステリー、「デリスキング(リスク低減)」パラノイア(被害妄想)、制裁津波、関税津波、戦争レトリックなど、すべてを経た今、総時価総額10兆ドルを超えるオリガルヒ(支配者層)の一団が北京に飛び、習近平に直接「取引」を懇願したのである。

トランプ氏は有頂天だった。「私は各界からナンバーワンの人材を求めた! ジェンスン・フアン、ティム・クック、イーロン・マスク、そして他のタイタンたち…世界で最高の人材が今、ここにいる。あなたの目の前にだ」。

そして、決定的な一言。「彼らは今日、あなたと中国に敬意を表するためにここに来た。彼らはビジネスをし、投資し、創造することに飢えている。我々としては、100%の相互主義で行くつもりだ」

「不可欠な」国家が、21世紀の真の地政学的経済帝国に朝貢している。歴史はそれを嘲笑するだろう。

新しい天壇の鍵

テスラ、アップル、ボーイング、GEエアロスペース。誰もが中国のレアアースを死に物狂いで必要としているのかもしれない。中国はレアアース鉱物の世界処理能力の約99%を管理しているのだから。しかし、構造的に見れば、そして増々そうなりつつあるが、中国はこれらアメリカの巨大企業を必要としていない。

今回の訪問に参加したCEOたちが代表する上位12社の中国に対する総収益は、年間3000億ドルを超えている。

マスクは、100%の関税を課されることなく、テスラを作り続けなければならない(彼の主要な輸出拠点であるギガファクトリーは上海の外側にある)。ジェンスン・フアンは、エヌビディアがこの巨大なAI市場に販売できるよう、チップ輸出ライセンスが必要だ(しかし、中国はもはやエヌビディアを必要としていない)。ティム・クックは、アップルの700億ドル規模の中国サプライチェーンを安定させ続けなければならない。

真の問題は、ウォール街のさらなる利益のために中国の金融市場が「開放」されることを切望するブラックロックのラリー・フィンクだ(李波氏は私に、中国がせいぜい許可するのは海南島に小さなオフィスを開くことくらいだろう、と語った)。フィンクはさらに、ダボス会議の連中の事実上の新しいリーダーであり、全米のAI監視データセンターへの資金提供の直接的な責任者でもある。

ホワイトハウスの発表資料は、「米国企業の中国への市場アクセス拡大と、米産業への中国投資の増加」、「中国による米国農産物の購入増加」、そして習氏が「米国産原油の購入増加に関心を示した」と明るく語っていた。

しかし、中国商務省からは、「貿易協議」に関する言葉は一言もない。

つまり理論上は、我々は中国をアメリカのビジネス・貿易のために「開放」したがっている、このトリリオン(兆)長者CEOのパーティーを目撃したわけだ。上海のビジネス界は、間違いなく感銘を受けてはいなかった。結局のところ、中国は自らの独立性を積極的に築き上げている(それはすべて新しい五カ年計画の目標に刻まれている)一方で、米国はこれらのトリリオン長者CEOたちを通じて、本質的に自国の依存関係を公式化するデモンストレーションを行ったに過ぎないのだ。

北京でこうした騒々しいやり取りが行われている間、ロシア、中国(王毅氏は習氏に付き添い北京に残った)、インド、そして極めて重要なことにイランなどの外相は、ニューデリーで非常に重要なBRICSサミットに参加していた。そこでの焦点は、モスクワが定義するところの、「グローバル・サウス」が支配的な役割を担う世界統治システムの改革である。

BRICSは昏睡状態にあるかもしれない。しかし、それを蘇生させることができる者がいるとすれば、それは中国、そして台頭する世界的強国イランと並び立つ、地政学的チェスの達人であるラブロフ外相を有するとロシアである。繰り返そう。新しい天壇を開くための真の鍵を見つけるのは、再び、RIC(ロシア・インド・中国)という「プリマコフ・トライアングル」(1990年代後半にロシアの外相・首相を務めたエフゲニー・プリマコフが提唱した戦略的な協力関係)なのだ。(“Trump Pays Tribute to the Temple of Heaven”, By Pepe Escobar, geopolitics analyst,  editor-at-large at Asia Times, The Unz Review • An Alternative Media Selection, May 15, 2026)

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